『コスパ病』の著者・小島尚貴は、福岡都市圏の大学生を対象にした学生サークル「企業取材サークルFUN」の顧問を、2003年5月から19年間にわたって務めています。

毎週土曜の朝に学生たちと実施してきた定例勉強会「FUNゼミ」は、実施回数が1,000回を超え、19年間で多くの学生たちがビジネス、経営、経済、外交、歴史、古典、文化など多様なテーマについて学びと交流を深めてきました。

この歴史あるFUNゼミで、2022年の10月~11月全9回にわたって、「地域活性化塾」と題し、『コスパ病』を題材に福岡女子大学(福岡市東区)の学生たちと日本経済、ふるさとの産業、仕事、買い物、消費者心理、日本文化について深く楽しく語り合いました。

若者たちは何に気付き、何を考えたのか?
若者たちは、日本経済やふるさとの産業について、どんな疑問を抱いたのか?
若者たちは、買い物で何を大切にしたいと考えたのか?

そして、「若者たちの生の声」は、社会人のあなたに何を感じさせるのか?

学生たちが学んだ「著者による講義動画」とあわせてご覧下さい。


FUNゼミ「地域活性化塾」の講義で、『コスパ病』を読んだ大学生の感想
★いいものを作る人のサポーターになれる買い物をしたい【Y.O】

第9章が、最も私の印象に残った章だ。この章から、海外では、地元の産業や職人が打撃を受けたら、それを防ぐ措置がされること、国や地域の文化が守り育てられていることを知ることができた。

この章では、外国から来た人が、日本の商売の仕方に呆れていたというエピソードが登場する。このことを知り、日本で作られたものにプライドとリスペクトを持ちたいという思いが芽生え、日本製や、地元の人が作った作品などに注目するようになった。

また、物自体に感動した、作家をすごいと思ったという動機によって物を購入したいと思うようになった。なぜなら、その方が、そうでない買い物よりも心が満たされると気付いたからだ。値段より、良さ・特性に惚れて買ったものは、生活を便利にするだけでなく、物を使う、持つ、その嬉しさを教えてくれる。

たくさん持つこと、すぐに手に入れることよりも、 自分が本当に欲しいなと思った物を買って、使うことの方が幸せなのだと気が付いた。

それから、本当にいいな、感動するなと思った物が、これからも存在し続けるためには、購入する人というサポーターが必要だということも『コスパ病』を読み、学んだ。いいものが、これからも存在し続けるために、いいものを作る人のサポーターになりたいと私は思う

オリジナリティがあり、質がよく、なんだかしゃれている、そんなものがあり続けてほしいと思う。

海外で文化が守られ、進化を続けるように、日本の文化や技術を利用して心揺さぶるいいものを作る日本”の方が、物を安く買える国日本よりも、魅力がもっと増して、産業も盛んになって、国内外から愛され、大切にされる国になるのではないだろうか

『コスパ 病』を読んで、私はこのようなことを考えた。私はまだ、頻繁にいいものを買うことはできないけれど、小さいものから少しずつ、自分の選び方、買い方を考えるようになった
★コスパマインドを捨てて、物を大事にする日本の文化をもう一度思い出そう【K.M】 

コスパってなんだろう。コスパが良いとは、費用に対して機能や効果が高いという意味だ。私たち消費者にとって、魅力的な言葉なのは間違いない。特に学生の私にとっては、コスパは味方

しかし、コスパを売りにした商品は最低限の機能を満たしており、使い捨てを前提として、何年も使うことを想定していないものが多い。同じものを使い続けたい私は、長く使い続けられないことに少しもやもやすることもあった

そんなときに出会ったのが「コスパ病」だった。

これまで値段の安さに釣られて買い物をしてきた自分が、いかに短絡的だったかを知った。買う側が安さを求めるから、売り手は値段を安くする、そしてまた安い商品が売れる。

この負の連鎖は加熱していつしか安さは前提になり、商品価値を上げるための企業努力ではなく、異常な価格競争が起こり、その影響で国内産業の衰退にまで発展していることが衝撃だった。

安さを求めた消費者が悪いのか、過度な価格競争を始めた企業が悪いのか 、何が原因で何が結果か分からないが、私たち消費者が一端を担っていることは明らかだった。値段の安さでしか商品を見ない「コスパマインド」を捨てない限りは、負の連鎖は終わらない

どうすれば止められるのだろう。本を読みながら、解決の糸口も見えずにどうしようもないんじゃないかという気持ちにもなった。  

「お米の一粒には七人の神様がいる」という言葉を思い出した。日本には食べ物や物を大切にする文化は古来からある。私が同じものを長く使い続けたいともやもやした理由は、物を大事にする文化が心の底にあるからだと気づいた

同時に、私と同じようにもやもやを感じている人がきっといるはずだと思った。第13章には、九州の素敵な商品が紹介されている。お米一粒に七人の神様がいるように、1つの商品には多くの人が関わっていて、歴史や想いが詰まっているのだ

安さで商品を選ぶ諦めのような買い物はやめよう。「素敵だな 」「自分の生活を豊かにしてくれるだろうな」と思えるものを買おう。商品の裏にいる神様たちに想いを馳せて。

まだ、日本人の心の底にある物を大切にする文化によって、回復する余地があるはずだと思 った。そう思うと希望が持てた。
★これからは、持っているだけでわくわくする買い物をしていきたい【S.C】

『コスパ病』というタイトルに驚いたが、思いの外すらすらと読むことができ、私の買い物 と「モノ」に対する考えをひっくり返すには十分だった。

もちろん値段を基準にして買うということも基準のひとつとして存在していることは必要だが、それ以上にそれがどこからやってきた「モノ」なのか、誰によってもたらされているのか、私が支払うお金がどこにもたらされるのか。

単に「モノ」と「値段」だけをみて買うことと、その背景を考えて買うこととでは大きな違いがあると考えることができた

私にはまだ自分でじっくり背景まで考えて購入をしたものは少ないが、今そうして私の手にある「モノ」は、持っているだけでなんだかわくわくする。この本を通した学びが無ければできない買い物だったと思う。

また、第6章を読んで、テレビ番組などでたびたび行われる「安いけれどいいモノ」に対しての目線が変わった

実際にいくつかの産業について、企業名なども挙げられて数値が示されることで、どれほど身の回りにありふれているのかがわかり、さらにメディアの影響もわかって、今の私たちが置かれている環境に大きな危機感を覚えたのがこの章だった。

周りの人々やメディアなどを通じて、コスパで買い物をする英才教育を知らず知らずのうちに受けていたのかもしれないと感じた。

日本製品を買うことや、高い商品を買うことが一様に良いことだというわけではないという点にとても納得したのだが、「適切」な価格で買うことが大切だと言われても 、現時点で私には何が「適切」なのかがわからない。それを獲得する機会がなかったのだと考えることができた。

今回、この本から買い物について一度立ち止まって考える機会を得ることができたことを大切にして、少しずつでも持っているだけでわくわくをもたらしてくれるものを増やしていきたい
★本当の意味での「いい買い物」を学んだ【F.T】

サークル活動でのご縁で、この「コスパ病」に出会いました。自分で使えるお金が1、2年前よりも格段に増え、さらに就職して自分で資金をやりくりしていかなければならない将来が、数年後に迫っている今、この本を読むことで何に自分がお金を使い、本当の意味での「いい買い物」を行えるのかを考える機会となりました。

日本での安い商品の販売の裏側での労働環境問題について、最近ではSNSやネットニュースを通じてしばしば報道されるようになり、消費者の目にもとどまるようになりました。

しかし、この「コスパ病」の中にあるような日本産業に及ぼす安い商品の影響は、一般的には知られていないのではないかと感じます 。

私自身も日本産業の衰退と安い商品の関係については、この本とこの本を通してのサークルの講義がなければ気づかずに過ごしていただろうと思います。安い商品の裏には何か安くなる要因が必ずあるし、それは労働・運送・デザインなどの面で様々なコスト削減が行われているということ自体は認識しているつもりでした。

ですが、それはほんの一部だけであってもっと他にも安くなる原因が存在し、それは日本で仕事をしている人びと、そして古くからの伝統を守っている職人の方に対しても影響を及ぼすということが深く印象に残りました 。

今すぐに「コスパ重視」の思考を変えることは難しいかもしれませんが、この本を通して「コスパ」がどれほど消費者と生産者に影響を及ぼしているのかを学びました。

これからの生活でモノを手に取る時、そのモノにある背景や生産者、企業のことを一度立ち止まって考え、より多く、自分にとってもモノができるまでに関わった人にとっても、プラスになるような買い物をできる習慣が身につけられるように努力をしようと思います。
★心がときめく買い物をした方が、ずっと豊かになれることに気づいた【R.T】

テレビでもSNSでも、「どれだけ安く『お得に』買えるか」という話題は人々の注目を集めています。私自身、この本を読むまでは、安く買うことは賢いことだと信じていました。

しかし、安いものを買えば買うほど貧乏になっていく経済の構造を知り、「コスパ」 重視で、安さの理由を考えることなく買い物をしていた自分を恥じ入りました

安く買うことは本当に「得」なのでしょうか。買ったときは安さを理由に喜びを感じたとしても、使い続けると不満が生じ、結果的に心が満たされない「損」な買い物になってしまうかもしれません。

何を理由に商品を買うか考えることで、「良い買い物とは何か」が見えてきた気がします。 この本を読んだことがきっかけで、地元の特産品について改めて考えることができました 。

やはり、特産品は「安さ」を売りにせず、こだわりを持って作られており、「適正価格」で販売され、高く評価されています。販売者はコストカットに没頭するのではなく、こだわり抜いた商品を自信を持って売る。消費者は商品を吟味し、満足して購入する。

これが本来あるべき売買の形ではないでしょうか

消費者が安さばかりを求めた結果、海外で大量に生産されたものに代替され、日本の農家や職人の方が廃業に追い込まれるのはあまりにも悲しすぎます。消費者の責任の大きさを感じながら、本のページをめくりました。

買い物は投票行動であるということを自覚し、生産者への応援の気持ちを込め、購入していこうと思うようになりました。逆に、安さを疑い、場合によっては「安いから買わない」 という選択もしなければならないと考えています。

買い物をする上で、価格は一つの基準ではありますが、多くある基準のうちの一つでしかありません。それ以上に重視して比較するべきことがあり、商品そのものの魅力を知り、心がときめく買い物をした方がずっと豊かになれることに気がつきました

品物を買うに至った理由や魅力を誰かに伝え、勧めたくなる。そのような買い物をしていきたいと強く思って います。
★コスパを求める自分に、今まで何も違和感を抱いていなかったことに気づいた【K.T】

モノの値段は間違いなく私たちが消費する際に気にするところだろう。商品のデザインや作られる過程だけでなく、自分でも手に入れられる値段なのかを気にすることは当たり前のことだと思う。

しかし、私たちはいつの間にか「安さ」ばかりに目がいくようになっていた 。SNSでもテレビでも安くてクオリティの高いものばかりが取り上げられており、それを追い求めることが正しいように感じるようになる。

私は「コスパ病」を読むまでそのことについて何も違和感がなかったコスパを求めるのは当たり前、だったのだ。おそらく私が物心ついて自分でモノを購入するようになったときには、その価値観が社会の中ですでに形成されつつあったのではないか、と思う。

この本を読んで一番おそろしいと感じたのは、安さ「だけ」を追い求める価値観に、無意識のうちに慣らされ、違和感に気づくことができない人が増えていることだと考える。

なぜこの商品が安く提供できているのか?なにが違うから同じような商品でも価格の違いが表れているのか?という疑問を考える間もなく「安い方を買っておこう」で済んでしまうことがとても恐ろしいことだと思う。ミソなのは「そもそも、疑問すら持たない」ということだ

私は「コスパ病」を読み、何かを消費する際に値段だけでなく、背景や理由まで考える視点を持つことができた。大学生の今、実際にすべての消費行動を変化させることは不可能で、安いものに手を伸ばすこともある。

しかし、「別の視点で考える」ことを学んだのは間違いなく、自分の中で大きな変化をもたらしたのだと思う。
★今までの消費行動を見直し、責任ある消費者を目指していきたいと思った【A.N】

私はこの本に出会うまで、コスパ重視の買い物を続けてしまっていた。

やはり、まだ学生の身で、金銭的に余裕がないため、お店で買い物をしていて迷ったときには価格の安い商品を選びがちであった。それに、現代ではコスパの良さを売りにした宣伝をする企業も多い 。

本文中にもあったように、安いことが常識となってきているのだ。そんななか、世の学生が 、高いほうが質が良いとはわかっていても、あえて価格の高い商品を選ぶことは容易ではない。私自身も、例にもれずそう考えていた。

しかし、この「コスパ病」を読んでから、私の価値観が完全に変わった

安いものにはそれだけのリスクがあり、将来的に自分たちの首を絞めることになるという現状に不安感を覚え た。日本の産業の衰退には、買い手が安いものを求め売り手が値段を安くするという負の連鎖が関係していると初めて知ったし、そのためには、一刻も早く私たち消費者の価値観を変えていかなければならないと強く感じた。

また、日本の地域産業にも悪影響を与えるコスパ重視の買い物というのは、やはり災害級の問題であると感じた。何においても「国産品は高い」というイメージを持ってしまう我々の思考回路もコスパ病の症状だと思う。

しかし、この思考自体が問題ではなく、最も問題視すべきは「それなら安い自損型輸入品でいいや」と、国産品の良さやメリットを考慮せずに輸入品を購入してしまう消費行動であると思う。このような消費行動を改善していく第一歩は、消費者が「安さ」だけで購入決定することをやめることだ。

たとえ、少し値が張ったとしても、 自分が本当に欲しいと思った商品を選ぶことで、満足感が得られることに加え、長く使えるし、日本の産業を応援することにつながる。単純なことだが、今まで実際に重要視できてい なかった人が多いのは、世の中に蔓延しているコスパ病のせいだろう。

私はこの本を読んで、「消費者の行動が国を支えている」という意識を持つことが大切だと感じた。

買い物をするときに、価格だけでなく、その商品の背景や生産者の思い、自分の本当のニーズまで考慮したうえで購入選択をすれば、より豊かな生活が送ることができると思う。

ただ、今までの習慣を急に変えようと思っても難しい。しかし、少しずつでも全員が行動を変えていけば、確実に効果は得られると思う。

私もこれから、自身の消費行動を見直し 、責任ある消費者を目指していきたい。
★友達にも読むことをおすすめしたい「コスパ病」【H.T】

小島さん、FUNゼミでは長い間にわたって「コスパ病」の解説ありがとうございました。

実際に講義に参加したのは、第一回のみとなってしまったのですが、よくある上辺のみの、みんながすでに知っているような話ではなくより身近に、そして深く考えられるような切り込み方で教わることができ、すごくためになりました。

「コスパ病」は、私たち若者にとっては特に読むべきものだと思います。

友達にもおすすめしようと思います!ありがとうございました。
★第二章にある「消費」の意味に感動し、とても納得した【Y.M】

「安さ」だけを求めて買い物を行う消費者の行動が、「自損型輸入品」を生み出したと知ったときは、やはりとても衝撃を受けました。

私はこの本を読むまで、ただただ安さを求めて買い物をする若者の一人でした。

安い物を買えば支出を抑えられるから家計に優しいと単純に考えていました。

そんな普段の何気ない買い物が日本経済に還元せず、日本を貧しくすることに加担していたと考えると、非常に恐ろしく感じると同時に罪悪感の様なものが湧いてきました。

プチプラの服を買って、可愛いなと愛でつつ使っていても、すぐにボロボロになってしまい、悲しくなることがあり、良いものを買って大切に長く使うことが結局は経済的であるし、生活の質が向上するというのは服を通じて薄々感じてはいました。

しかし、商品の安さの背景を気にかけることなく、ただただ物を買っていた自分に後悔しています。

私は、第二章に書かれてある 「消費」の意味に感動しました。「費」が売り手が投じた費用の意味で、「消」の目的語である。そして、購入を通してその費用が回収され、一つの経済活動が完結する。

この解釈にとても納得させられました。

売り手、作り手の仕事に対価を払う消費者としての責任を感じながら、消費活動を行おうと思いました。

この本を読むまでは、本物を購入し、大切に使って愛することで楽しむという側面が買い物にあるとは知りませんでした。

これからは、良いものを見極める感性や知識と教養を身に着けて、そのような買い物ができるようになりたい です。

FUNゼミ 『地域活性化塾』 2022年10月~11月 福岡女子大学

主催 : 企業取材サークルFUN(2003年創設)
講義 : FUN顧問・『コスパ病』著者 小島尚貴

<ガイダンス>
みんなでふるさとについて語り合おう

<第1回>
『コスパ病』を書かずにはいられなかった理由
(◆まえがき◆序章)


<第2回>
「悪い安売り」の歴史とメカニズムを知ろう
(◆第1章 安さの「恐ろしさ」が見えない日本人
◆第2章 「モノを買う」から「価格を買う」へ)

<第3回>
日本経済に牙をむく「自損型輸入」の誕生
(◆第3章「安売り」が地方を破壊した最初の事件
◆第4章 盗人を捕らえてみれば我が子なり)


<第4回>
赤信号、みんなで渡れば、みんな死ぬ
(◆第5章 当事者意識なき当事者たち
◆第6章 肥大した「異常なお値段」経済圏)

<第5回>
水を汲む前に、バケツの穴をふさごう
(◆第7章 食の自損型輸入による故郷の破壊
◆第8章「買い負け」は日本に何をもたらすのか)


<第6回>
日本の安売りの異質さと危なさを知ろう
(◆第9章 責任転嫁をやめ、現実を受け入れよう
◆第10章 「中国の利益」という視点から見えてくること)

<第7回>
若者と女性の力で「コスパ病のパンデミック」を終わらせよう
(◆第11章 「見て見ぬふり」に終止符を打とう
◆第12章 「コスパ病」治療のためのささやかな提案)


<第8回>
日本人としての自信と余裕を「買い物」で取り戻そう
(◆第13章 未来を見据えて奮闘する企業の事例から、「良い買い方」を学ぼう
◆あとがき)