若者、企業、自治体、経済団体、大学、地域が「海外」を向いて力を合わせ、未来を作るインフラに


ここまで長い内容をお読み下さった方々は、今、いくらかの希望、そして疑問をお持ちのことでしょう。


「実現できたらすごいけど、本当にできるのか?」と。
そこで、最終章に当たり、より具体的な数値を伴わせて、J-Tube Youthのプロジェクトの概要をまとめます。

1. 輸出希望の地場企業の製品を「学生」が取材し、コンテンツ化。
学生は輸出希望の地場企業の製品を取材、撮影、録画し、「3分野38項目の英語ページ」と「4章22項目3分40秒の英語動画」を制作し、企業の「English」のページに掲載する。(もしくはJ-Tube担当地域商社のページに掲載)。

 

ページと動画の合計金額は「7万円」で、弊社が運営手数料、システム利用料、海外広告宣伝費として30%(21,000円)を徴収し、学生には49,000円を「2日間のアルバイト代」として還元。企業は「7万円(税別)」を弊社に支払い、取材に来た学生に輸出対応に必要な情報と素材を提供する。(学生の往復交通費は、学生にご支給ください)

2. 企業は展示会や海外出張、SNSなどでJ-Tubeページ(QRコードやURL)を拡散。
これまで買い手と売り手の情報共有が進まず、「とりあえず会ってから」という非効率的な利用も多かった展示会を、もっと有効な形で活用できるよう、企業は海外展開を

「対面前に済ませる作業(プレ商談)」と、

「対面して行う合意形成・微調整(本商談)」に分け、webと動画を活用

J-Tubeでは「買い手からの意思表示」によって商談が始まるため、見込み客が登場するまではやり取りや支出が発生することはない。

3. 企業は不要になった出展費、通訳・翻訳費、渡航費、宿泊費を国際認証取得や商品改良に充当。
これまでの地方の「企業の海外展開支援」は、売り手たる中小企業に不足している条件を補うための費用面での支援が中心でした。しかし、国際取引では「買い手の買いにくさをなくすこと」にこそ主眼が置かれるべきで、どれだけ自治体が売り手の出展や渡航、市場調査を支援しようとも、そもそも買い手が購入判断を即座に下せる情報を整備しなければ、販売支援を行っても成果が伴うことはありません。


海外展開は「国内が低迷しているから海外」という甘えた気持ちで行っても成功することはありません。今やmade in Japanだけで売れる時代は終わり、どんな製品も相手の市場に合わせたそれなりの最適化が求められます。J-Tube Youthで浮いた資金は、その最適化作業に充当することができます。

4. 学生は一方通行の地域学習から、当事者意識を伴う主体的な地域貢献が可能に。
J-Tube Youthは、一般より高めのアルバイト代を設定します。しかし、そのアルバイトができるのは原則的に「月に1回だけ」です。なぜなら、学生の本分は学業だからです。

 

これまで戦略なき海外展開に投じられていた費用を効率的に圧縮することで、海外展開の初動に要する費用が「7万円」で済むというのは、企業には安いかもしれませんが、英語とデジタル知識を活用して地域貢献を行うことで稼げる数万円は、学生にはとても大きなお金です。

 

なぜ弊社がこんな、一見「ボランティア」とも呼ばれるような料金設定にするかというと、弊社は「外国語データベース」を獲得したいからです。データにはお金以上の価値があるからです。そして、学生に地元の企業、商品、歴史、文化に主体的に触れてもらい、地元の一つのきっかけから世界を、未来を、ふるさとを生き生きと見つめてほしいのです。そこから始まった学びを通じて地元の魅力を感じてくれれば、若者は補助金や優遇制度で誘わずとも、自発的に地域に残り、働き、活躍するはずです。

5. 動画や翻訳を「業者に丸投げして終わり」で済ませるのではなく、「細分化された小さな仕事で、若者が育つ作業」にする。
地方創生やインバウンドの盛り上がりで、近年、各地で多くの動画やwebコンテンツが作られました。その多くは委託先の業者に一括して任され、それなりの経済効果をもたらしたことでしょう。しかし、経済効果よりもっと大事なのは「若者の感動」です。J-Tube Youthは、「業者に100万円払って委託して終わり」よりも、「意欲ある学生20人に5万円の仕事をしてもらい、地域を本気で考えてもらう」という機会創出にこそ、もっと大きな価値があると考えています。


学生のアルバイト代は、九州の大学生の月の平均的なアルバイト代を基準に設定しました。これまで空き時間を投じて単純労働をしなければ得られなかったお金を、たった2日の地域貢献で手にしてほしいのは、もちろん有望な学生の学費や生活費の負担を減らしてあげたいという気持ちもありますが、それ以上に「空いた時間に必死で勉強してほしいから」です。


また、J-Tube Youthのアルバイト「AGE」は、自然、産地、工場、原料といった「一次情報要素」を持たない東京では実施すること自体が不可能で、構造的に「地方でしか成り立たないアルバイト」です。AGEにはその立場をフル活用してもらい、各地で外国語化、デジタル化、オンライン化されていない「未利用情報資源」を、せっせとAI対応させてもらい、「東京のバイト代って、安いなぁ」、「東京って、案外退屈で不自由だなぁ」、「地方って、こんなに海外とつながれるんだ」と実感を伴う経験をしてほしいのです。


自分が興味を持った製品を取材して英訳し、動画を作ったら、その商品や問合せてきた国に興味を持つことでしょう。小さくても自分が担当した商品の取引が成立すれば、それは若者の大きな感動と自信になり、地域をもっと学びたくなるかもしれません。地方にいながらにして「ローカルとグローバルの結合」という仕事に従事すれば、「わがふるさとは、こんなに世界とつながれるのか!」という希望が生まれるかもしれません。


日本の若者が、たった一つ、東京よりも憧れるのは「海外」です。自分の故郷や好きな町が海外とつながっているという明確な実感を学生時代に手に入れることができれば、その感動は、その学生一人のためだけに終わるものではないと私は信じています。

6. 自治体や地場経済団体の支援(補助金、助成金)を当てにしない、新時代の地域国際化を模索。
海外や国内の、外国企業も参加する展示会では、国際商談の成約率は残念ながら高いとはいえず、近年は展示会というビジネスモデルそのものの修正が迫られている面もありますが、本来、「実際に対面できること」は、ビジネスの発展に大きなメリットを持っています。しかし、多くの中小企業は語学や国際交渉が苦手で、対面せずにできる作業に時間を浪費し、重要な合意に到達できずに機会を失っています。


自治体や経済団体も、地元の活性化のため、他県や他自治体とヒトやカネの奪い合いをせずに「純増」を目指せる海外市場に可能性を見出し、様々な補助を行っていますが、現状、目立った成果を出せている事例は少なく、また、これ以上補助を充実させる予算を持っている自治体は多くありません。


J-Tube Youthは、自治体を助けるために作ったシステムではなく、地域にとって最も大切な「若者の成長と地元への自発的な愛着」の自然な形成と現実的な実現手法を考えた結果、自治体や経済団体の支援を必要としない、つまり手続きや申請書作成、時に形式で終わりかねない報告書の作成などに割く時間をなくし、「頑張りたい企業と頑張りたい学生が『輸出』を目標に力を合わせる」というモデルを構築しました。


このコンテンツを運用した軌跡や結果をデータベース化することで、そこから抽出された情報やノウハウを自治体や経済団体に還元し、併せて大学の知的財産の一部としても活用してもらうことで、地域の力で若者を育てていこう、というプロジェクトです。

7. ブロックチェーンのように、「始発点の売り手」と「終着点の買い手」をデジタルとAIで直結。
J-TubeのコンセプトはB2B(対法人)ではなく、L2L(Local to Local:地方対地方)、M2R(Manufacturer to Reseller:メーカー対バイヤー)です。

 

すなわち、「首都、仲介者(ブローカー、コンサル)を介さずに地方の生産者・製造者と外国の地方の買い手が『外国語+デジタル+AI』で直接つながる」というプラットフォームを通じて、利用企業か各地の地域商社が海外に向けて地元商品を発信し、各国からの引き合いや注文をダイレクトに受け止めて分析することで、これまで東京や大都市に集中していた企画、調整、改良という「付加価値創出プロセス」を地方に奪還しようという挑戦です。


これまで地方の企業は、東京や大都市の「下請け」として仕事を発注され、条件に従って商品を納品することもありましたが、海外取引まで同じ仕組みで行うと、送料や仲介手数料がふくらみ、意思決定が遅くなり、情報の鮮度やスピードも低下して、成功の可能性が最初から下がります。しかし、デジタル技術を効果的に活用すると、海外バイヤーのスマホで「産地が提示できる条件」を含んだ一次情報を提示することができ、そこから自社では難しい事柄を、信頼できる外注先を選定して「下請け」にすることができます。


日本と海外の一次情報の保有者同士がつながることで、情報の信頼性が高まり、取引のリスクを減らせ、利益率が高まり、コミュニケーションの質も深まります。「有利なポジショニングを通じて、相手からの意思表示によって取引を始めること」が地方には必須です。

8. 最初の1年(2019年9月~)は研修システムの確立に注力し、規模は小さくスタート。AI学習は2020年度から。
J-Tube Youthは、地域の様々なプレーヤーが「輸出」を通じた活性化のため力を合わせ、その過程の中で若者を助け、また、若者に助けてもらうプロジェクトです。本事業においては、もちろん国際取引の成約は重要ですが、同時に若者が主体的に地域と関わり、地域を学び、学業に打ち込める環境作りを側面支援し、それを通じて若者の自発的な地域貢献(就職、定住、起業など)につながることを成果と見込んでいます。


私が17年前に学生とサークルFUNを創設した時も、「最初の3年間は基盤作り」とし、ルールや雰囲気、活動の仕組み作りに力を入れました。J-Tube Youthでも同じように、焦らず急がず、「事業のために学生が必要」ではなく、「学生のために事業がある」と人を中心に位置づけ、本質的かつ長期的な計画を持って、地道に研修や学習の環境作りを行っていきたいと考えています。

 

 

いくら中高年より英語やデジタルが得意だからといって、やはり学生の知識や情報量は社会人と比べれば狭く、浅く、乏しいこともあります。しかし、成長速度は速く、一週間で別人のように変化することもあります。

 

J-Tube Youthにおける人工知能プログラミング言語はPythonを対象とし、約一年の取材経験を経た学生から、順次データベースから抽出した要素をAI対応させ、地域資源と海外潜在市場の分析を行えるようにしていきたいと考えています。

以上がJ-Tube Youthの概要です。
お読みいただき、ありがとうございました。

J-Tech Transfer and Trading
代表 小島尚貴
(公益社団法人・福岡貿易会アドバイザー、八代市農林水産部フードバレー推進課アドバイザー、熊本県輸出ワークショップ講師)

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