希望 全ての情報が再定義、再整理、再編集されるAI時代にこそ、地方が東京を超える魅力を世界に発信へ


「もぎとり君」でぶつかった壁をWebページとのパッケージ化で乗り越え、「J-Tube」で直面した壁を学生特派員による取材で再び乗り越えようとしている私のチャンネルは、今年の3月、Google社から「YouTube Partner Program」のチャンネル承認を受けました。それにより、J-Tubeの外国語データベース分析機能や視聴者へのアクション設定の自由度は大きく高まり、この追い風を生かすべく、私はここ最近、人工知能や都市計画の本を多く読んできました。

 


まだ私の知識や理解は初歩的なレベルですが、AIの世界では画像解析による深層学習(ディープラーニング)がいち早く実用化されていることくらいは知っています。AIは機械学習の体系的な連動の仕組みですから、認識対象は文字、画像、動画など多いほうが学習効果は高く、インターネット上での信頼性も高まることは、YouTubeチャンネルの運営でも感じてきた通りで、人工知能の本を読んでから「あぁ、あの時のあの変化は、Google AIのアルゴリズムがこう作用した結果だったのかも」となんとなく納得することもありました。

文字だけでは情報量が不十分という原理が当てはまるのは、人工知能と「外国人」です。例えば私たち日本人は「海苔」と聞けば、発音や文字だけでそれが何か、どう栽培、収穫され、どんな食事に使われるか、すぐに理解できますが、外国人は海苔があの形のまま海に生えていると思っている人もいます。だから、海苔を説明する画像や動画が多く、正確で、オリジナリティが高いほど、情報量は豊かで信頼性が高くなります


この事実は何を意味するのでしょうか。

一般に、良質なバイヤーほど、「根源的な要素(上流の一次情報)」を根拠に商品を購入します。それは産地という「情報源」に拠点を持つ生産者、製造者のみが現地で保有する情報で、そこでしか撮影、録画できず、それ以前、それ以上に遡ることができない本質的な情報のことです。例えば風土、土壌、水源、原料、成分、製法、技術、品質管理などの事実や風景は、5年後も10年後も変化のおそれが少なく、価値を保ち続ける情報で、J-Tubeの経験から言っても、良質なバイヤーさんは、こうした一次情報を高く評価します。

 


これに対して、製造や流通の「下流」で消費者と向き合う東京は、海外バイヤーが求める日本製品の「一次情報」を提供できません。東京で見つかる商品は多いものの、そのほとんどはメーカー、紹介者、商社、デザイナー、コンサルタント、ブローカーなどが複雑に絡み合っているモノも多く、「産地との直接対話で自国に適した商品を作りこみたい」と考える海外バイヤーは、仲介構造にいる全員が納得しないと一つのYesさえもらえないこの複雑さからも、東京経由の調達を望まない場合が多いのです。

サービス業やIT産業を除いては「情報自給率ゼロ」の東京は、価格も二次価格(卸)、三次価格(小売り)しか持てず、海外が欲しがる産地や工場の映像、データ、資料の調達力においては、日本で最も不利な都市です。


例えば、英語ができる日本人なら、「テキサス州の牛肉」を輸入する時、「英語が分かるニューヨーク在住の日本人」に相談するはずがないでしょう。英語ができなければ、相談するでしょう。


外国人が東京の会社に相談するのはなぜでしょう?
日本語ができないからです。英語ができる会社が多く、国際取引に慣れた商社やコンサルタントも多いからです。

 

 

しかし、地方が「3分野38項目の英語製品情報」、「3分40秒の英語動画」を産地価格付きで提示し、全てをバイヤー目線の英語で整理し、世界中のバイヤーのスマホで直接発信し、メーカーと一通もメールをやり取りすることなく、「儲かるかどうか」を完璧に計算できたら、どのバイヤーがわざわざ東京の会社に相談するでしょうか?エクスペディアのほうが料金も安く、特典もあって、カフェでスマホを見ながら数秒でチケットを買える時に、誰がわざわざ旅行代理店の店頭に行って、割高なチケットを買うでしょうか?

このように、海外バイヤーから見れば、東京は情報は豊富でも「情報源」ではないために、情報を持つブローカーやコンサルが集まり、複雑な利害関係でチームを作っています。モノも商品も作れず、持てない東京は、「直接買う立場」でも「直接売る立場」でもないために、「情報と価格を隠すこと」によってしか力を維持、発揮することができず、些細な変更がチーム全体の手数料の調整に波風を立て、内部の忖度に全員が気を遣っており、この点では地方でよく障壁として挙げられる「しがらみ」が最も大規模に存在する都市ともいえるでしょう。

 

しがらみがしがらみに見えないのは、しがらみを構成している企業が、地方出身者が社名だけで圧倒される大手有名企業だからです。


この秘密主義と不透明さ、スピードの遅さと価格根拠の分かりにくさから、東京経由の伝言ゲームは「一人切れれば全部が終わり」というリスクを常にはらんでおり、そのため、世界中のバイヤーから「できれば東京を迂回したい」と思われています。日本ほど首都圏に人口が集中する国は少ないこともあるでしょう。

海外バイヤーの拒否感を裏書きするように、東京の会社が国際取引において最も嫌がり、恐れることは、「バイヤーがメーカーの産地出荷価格を知ること」と、「メーカーがバイヤーの希望購入価格を知ること」、「自分たちが飛び越されて買い手と売り手がつながること」で、仲介と調整の過程でこの数字が売り手と買い手に漏れないか、自社がいくら利益を乗せているかがバレないか、東京の会社はとても神経を使っています。「ばらされ、飛ばされ、消されること」こそ、東京の仲介機能の弱みです。

しかし、もう、東京の仲介者がそういうことに気を遣う必要はなくなりました。
「外国語+動画+AI」が揃い、われわれ地方が原料、成分、製法、製造設備を押さえている現代、地方企業の海外展開において東京を頼り、経由する必要や理由は減りつつあります。インターネットを通じて「産地発送FOB価格」を外国語で掲載し、産地でしか集められないデジタル素材を効果的に編集して世界中のバイヤーのスマホで直接「手のひら展示会」を行えば、産地でも製造地でもない東京の仲介業者は価格、スピード、情報の質と量で地方に太刀打ちできずに存在意義を低下させ、各国のバイヤーは東京に「御社と同じ成分の商品が、産地からもっと有利な条件で買えるから、Goodbye」というメールを送るようになり、東京を無視、迂回した商談や商機を地方が集めていけるようになります。

 

思い出してみてください。
スマホで中古車情報が、車内の状態も含めて全て確認できるようになってからは、中古車屋さんは土地の安い場所に移りました。エクスペディアやBookingcomが普及してからは、旅行代理店に足を運んでチケットやホテルを予約する機会が激減しました。今更、賃貸物件のページを見て、ページの最後に「委細ご相談」と書いてあり、家賃も支払総額も記載していないなら、そんな不動産屋に誰が連絡するでしょうか


国際取引における東京の仲介者の存在も、インターネットの普及で衰退している古い業種と同じで、「外国語+動画+AI」を上手に活用すれば、国際取引において地方は東京から①価格決定権、②商流主導権、③海外顧客情報を奪還し、東京経由の中間搾取の下請けいじめ構造に搾り取られていた利益を奪還して、地方企業やバイヤーさんに還元することも可能になっていくのではないでしょうか。

 

このことから、J-Tubeでは各国のバイヤーさんに「See in Tokyo, Buy in local」と呼びかけており、東京で知り、見た商品と同じかそれ以上に良いものが、東京では実現できない条件で地方から直接調達できる根拠を示し、「東京経由の日本製品調達がいかに不利で、不便で、損するか」を英語と動画で世界中に発信しています。その仕組みにAIを取り入れ、産地と地方のメーカーのみが持つ一次情報を外国語、デジタル化させ、東京を経由せずにダイレクトに海外をつないでいくのが、2020年からのJ-Tube Youthです。

そして、J-Tube Youthの構想の中核は、これら一連の、
・地方の中小企業の製品に関して、バイヤーが購入判断材料に使う情報の①外国語化、②デジタル化、③オンライン化
・地方の製品の文字情報、画像、動画、データ、図表のAI対応外国語データベース化(2020年4月以降)
展示会や海外商談の初期段階に要していた作業を「非対面状態」で済ませるための外国語Webページと動画の制作
・YouTube、Googleで定期的に集めたデータをGoogle AIで分析し、Pythonで学習させ、①潜在市場、②見込みがある製品、③可能性がある原料・成分・製法・技術の組み合わせなどを、AIを援用して測定、発見、企画(2020年4月以降)
・集積したデータを国別、産地別、商品別、原料別、取引形態別にデータベース化し、各地の自治体や経済団体に還元
・自治体が予算や補助金を使わずに産地と企業の海外対応を進め、「買い手視点」の情報を集める仕組みを構築
という作業を、J-Tubeの研修を受けた「Area Globalization Engineer(AGE)」という学生取材スタッフを各地で育成することで、若者が主役となる未来作り、地域作りを行っていくという点にあります。